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0071

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今日物事は餘りに簡単にその仕組みと結果だけを知ることが出来るために、その生い立ちやそこに至るまでの工程を知らずに僕らは居れる。
その結果を得ようとした先人たちがどのように試行錯誤しどれ程の失敗を重ねどれだけの悔恨を経てそこに辿り着いたのか、その追体験すらすることなく僕らはその結果だけを受け取る事が出来る今日に生きている。それは、食卓に並べられた肉や魚や穀物野菜が生き物として生を営んでいたその姿を忘れさせたまま僕らの食物としてでしかこの世に生を受けなかったかのように錯覚したまま生き物で在る事さえ認識される間のないまま淡々と消費されていくことにも当てはまる。

そこに至るまでの道程を知らずに物事の成果だけを享受して仕舞いにして良い程、物事は易くないはずだ。一人ひとりがそこに想いを馳せるだけでも世界の在り方は変わって来ると、僕は信じる。

小さなことだ、自分一人が気にしたところで大きな流れは何も変わらないし変えられないし変えられるなどと傲慢なことは思っていない。

だが、それでもなお、僕は口にする。
自分にできることのすべてを一所、懸命にすることでしか、自分がここに居る理由を見いだせないからだ。

自分と云う命の形をした時間と云うエネルギー体がここで為せることのすべてを出力し尽くすこと、それが、生きるということなのじゃないか。そんな風に、思っている。

たとえ小さな一粒なのだとしても、
世界にもらった命という名の時間の使い道を、間違えないようにするために。